「え、国民健康保険料って前年の所得で決まるの?」
「今は無職なのに、なんでこんなに高いの?」
「前年の収入で計算されるなんて、おかしくない?」
退職して無職になったのに、高額な国民健康保険料を請求されて驚いた経験はありませんか。

実は、国民健康保険料は前年の所得を基準に計算される仕組みになっています。
だから、今の収入とは関係なく、前年の所得が高ければ高額な保険料を請求されてしまうんです。
この記事では、国民健康保険料が前年の所得で計算される理由と仕組み、そして今の収入が減った場合の対処法を詳しく解説します。
「前年の所得」という仕組みを理解すれば、納得して保険料を払えるようになりますよ。
国民健康保険料はなぜ前年の所得で計算されるのか
まず、なぜ国民健康保険料が前年の所得で計算されるのか、その理由を理解しましょう。
実は、ちゃんとした理由があるんです。
前年の所得なら確定した数字で公平に計算できる

国民健康保険料を前年の所得で計算する最大の理由は、確定した数字が使えるからです。
「今年の所得」はまだ年が終わっていないので確定していません。
でも、前年の所得なら、すでに確定申告や年末調整で確定しているので、正確な金額がわかるんです。
たとえば、2025年度の国民健康保険料は、2024年1月~12月の所得をもとに計算されます。
2024年の所得は、2025年3月の確定申告で確定しているため、そのデータを使って保険料を計算できるわけです。

なるほど。今年の所得はまだわからないから、前年の所得を使うのね

そういうことだにゃ。確定した数字を使うことで、公平に保険料を計算できるんだにゃ
毎月の収入変動に左右されない安定した計算ができる

もし「今月の収入」で保険料を計算したらどうなるでしょうか。
個人事業主なら、収入が多い月もあれば少ない月もあります。
毎月保険料が変動したら、計算も支払いも大変ですよね。
前年の所得を基準にすることで、1年間の保険料が確定し、安定した支払い計画が立てられるんです。
通常、国民健康保険料は6月に通知され、1年分を10回に分けて納付します。
この仕組みがあるからこそ、毎月の支払い額が安定するわけです。
行政が効率的に保険料を算定できる

前年の所得を使うもう一つの理由は、行政の効率性です。
市区町村は、税務署から提供される確定申告データや、会社から提出される源泉徴収票のデータを使って、一括で保険料を計算できます。
もし「今年の所得」で計算するとなると、毎月収入を報告してもらう必要があり、事務処理が膨大になってしまいます。
前年の所得を使うことで、効率的に保険料を算定できるわけです。

国民健康保険料の計算に使われる前年の所得とは
次に、具体的にどの「前年の所得」が使われるのかを見ていきましょう。
実は、すべての所得が対象になるわけではありません。
総所得金額から基礎控除を引いた金額が基準

国民健康保険料の計算に使われるのは、前年の総所得金額から基礎控除を引いた金額です。
基礎控除は、2025年現在43万円です。
たとえば、前年の総所得が300万円だった場合。
300万円-43万円=257万円
この257万円が、国民健康保険料の所得割を計算する基準になります。
総所得金額に含まれるもの・含まれないもの

「総所得金額」には、以下のようなものが含まれます。
総所得金額に含まれるもの
・給与所得
・事業所得
・不動産所得
・配当所得
・一時所得
・雑所得
・株式譲渡所得
・先物取引所得
逆に、退職所得は総所得金額に含まれません。
退職金をもらっても、国民健康保険料の計算には影響しないので安心してください。

退職金は計算に入らないのね!それは助かるわ

退職金は別枠で税金がかかるけど、国民健康保険料には影響しないんだにゃ
所得がゼロでも保険料は発生する

「前年の所得がゼロなら、保険料もゼロ?」
残念ながら、そうではありません。
前年の所得がゼロでも、均等割と平等割は発生します。
均等割は加入者1人あたりにかかる定額の保険料で、東京都新宿区の場合、年間約5万円前後(40歳未満の場合)です。
ただし、所得が一定以下の場合は、2割・5割・7割の軽減が自動的に適用されます。

前年の所得と今の収入が違う場合の対処法
「前年は年収400万円だったけど、今は無職で収入ゼロ」
こんな場合、どうすればいいのでしょうか。
会社都合退職なら非自発的失業者の軽減制度を使う

会社都合で退職した方には、非自発的失業者の軽減制度があります。
これは、前年所得を30%として計算してくれる制度です。
たとえば、前年所得が300万円だった場合、90万円として計算されるため、保険料が大幅に安くなります。
非自発的失業者の軽減制度の対象
・会社都合での退職(リストラ・倒産など)
・雇用保険の離職票の離職理由コードが該当
・雇用保険受給資格者証を持っている
・退職時に65歳未満
この制度を使えば、年間で10万円以上保険料が安くなることもあるので、対象の方は必ず申請してください。
収入が大幅に減った場合は減免制度を申請

会社都合退職でなくても、収入が大幅に減った場合は減免制度を申請できることがあります。
たとえば、病気や災害で収入が途絶えた場合、生活保護に準ずるような困窮状態にある場合などです。
減免制度は自治体によって基準が異なるので、まずは市区町村の窓口に相談してみましょう。
「前年は収入があったけど、今は本当に払えない」という状況を正直に伝えれば、担当者が適切な制度を案内してくれます。
分割納付の相談も可能

減免の対象にならない場合でも、分割納付の相談はできます。
一括で払うのは難しくても、月1万円ずつなら払えるという場合は、窓口で相談すれば柔軟に対応してくれます。
大切なのは、払えないからといって放置しないこと。
滞納すると延滞金が発生し、保険証が使えなくなり、最悪の場合は差し押さえまで進んでしまいます。

払えないときは、とにかく窓口に相談すればいいのね

その通りだにゃ!放置が一番ダメ。相談すれば必ず解決策があるにゃ

前年の所得がいつの時期の収入を指すのか
「前年の所得」と言われても、具体的にいつの時期の収入なのかわかりにくいですよね。
ここで整理しておきましょう。
前年1月1日~12月31日の所得が対象

国民健康保険料の計算に使われる「前年の所得」とは、前年1月1日~12月31日の所得です。
たとえば、2025年度(2025年4月~2026年3月)の国民健康保険料は、2024年1月1日~2024年12月31日の所得をもとに計算されます。
保険料は6月に通知される

国民健康保険料の通知は、毎年6月頃に届きます。
これは、前年の所得が確定申告(3月15日期限)で確定した後、市区町村がデータを集計して計算するためです。
通知が届いたら、6月~翌年3月の10回払いで納付するのが一般的です。
たとえば、年間保険料が36万円なら、月額3万6,000円を10回に分けて支払います。
年度途中で加入した場合は月割計算

退職などで年度途中から国民健康保険に加入した場合は、月割計算になります。
たとえば、2025年10月に退職して国民健康保険に加入した場合、10月~翌年3月の6カ月分の保険料を支払います。
ただし、計算のベースになる「前年の所得」は変わりません。
つまり、2024年の所得で計算された保険料を、6カ月分支払うことになります。
国民健康保険料と前年の所得。仕組みを理解して賢く対処しよう:まとめ
国民健康保険料が前年の所得で計算される仕組み、理解できましたか?

前年の所得を使う理由は、確定した数字で公平に計算できるからです。
「今は無職なのに高い」と感じるのは、この仕組みがあるためなんです。
「前年の所得で計算される」という仕組みを知らないと、突然の高額請求に驚いてしまいます。
でも、仕組みを理解していれば、事前に備えることができるんです。
退職を予定している方は、前年の所得をもとに翌年の保険料を予測しておきましょう。
そして、会社都合退職なら軽減制度を、収入が大幅に減ったなら減免制度を、必ず申請してください。
払えないときは絶対に放置せず、市区町村の窓口に相談することが大切です。

前年の所得で計算される理由がわかって、納得できたわ!

その調子だにゃ!仕組みを理解して、賢く制度を活用するにゃ!