「パートしながら個人事業を始めたいけど、社会保険ってどうなるんですか?」
「自分で国民健康保険に入るんですか、それともパート先の社会保険ですか?」
「社会保険料ってどっちで計算されるの?」
パートと個人事業の両立を考えている主婦の方なら、社会保険の仕組みがよく分からず不安になるのは当然です。

実は、パート先の条件次第で、個人事業と関係なく勤務先の社会保険に加入できるんです。
そして、一度勤務先の社会保険に加入すれば、個人事業主としての国民健康保険や国民年金は脱退することになります。
この記事では、パートしながら個人事業主をする場合の社会保険の仕組みを、図解を交えて丁寧に解説します。
勤務先で社会保険に加入できるかどうかの判定基準、加入した場合の手続き、保険料の計算方法までスッキリ分かります。
パートしながら個人事業主。社会保険は「パート先」か「国民」か
まず最初に理解すべき重要なポイントがあります。
パートと個人事業を両立する場合、社会保険の加入元は複雑ではなく、実はシンプルに決まるんです。
個人事業主は基本的に国民健康保険に加入

個人事業主として事業をしている場合、基本的には国民健康保険と国民年金に加入する立場です。
会社員と異なり、企業の社会保険制度がないからです。
だから、個人事業を始めると同時に、市区町村の窓口で国民健康保険に加入手続きをする必要があります。
ただし、パート先の条件で勤務先の社会保険に加入できる可能性がある

ここが大切。パート先の企業が一定の条件を満たしていれば、勤務先の社会保険(健康保険+厚生年金)に加入できるんです。
その場合、個人事業主としての国民健康保険や国民年金は自動的に脱退することになります。
つまり「個人事業だから国民保険」ではなく、「パート先の条件で決まる」というわけなんです。

え、個人事業と関係なくパート先で決まるんですか?

その通りだにゃ。パート先の条件がすべてを決めるんだにゃ。
パート先で社会保険に加入できる5つの条件
では、パート先でどんな条件を満たしていれば、勤務先の社会保険に加入できるのでしょうか。
5つの要件があります。
社会保険パート勤務の条件1。週の所定労働時間が20時間以上

最初の条件は、週の所定労働時間が20時間以上であること。
週3日、1日7時間程度の勤務なら、大体この条件を満たします。
社会保険パート勤務の条件2。月収が8.8万円以上

2つ目は、月収が8.8万円以上であること。
ここでいう月収は、通勤手当や残業代などを除いた基本給です。
時給1,000円なら、88時間以上働く必要があるということですね。
社会保険パート勤務の条件3。勤務期間が2ヶ月超見込み

3つ目は、勤務期間が2ヶ月を超えることが見込まれること。
最初から「2ヶ月限定」という契約なら、社会保険加入の対象外になってしまいます。
社会保険パート勤務の条件4。勤務先の従業員数が51人以上

4つ目は、勤務先の従業員数が51人以上であること。
小規模な企業や個人経営のお店の場合は、社会保険加入の義務がないため、パートも加入できません。
社会保険パート勤務の条件5。学生ではないこと

5つ目は、学生ではないこと。
主婦の方なら、この条件は心配ありません。
パート先で社会保険に加入できる5つの条件
✓ 週の所定労働時間が20時間以上
✓ 月収が8.8万円以上(通勤手当・残業代除く)
✓ 勤務期間が2ヶ月超見込み
✓ 勤務先の従業員数が51人以上
✓ 学生ではない

5つ全部満たしてたら、社会保険に加入できるんですね。

1つでも欠けたら対象外だから、しっかり確認するんだにゃ!
パートで社会保険に加入した場合。個人事業との関係はどうなる
では、パート先で社会保険に加入できた場合、個人事業主としての立場はどうなるのでしょうか。
重要なポイントがいくつかあります。
国民健康保険と国民年金は自動的に脱退

パート先で勤務先の社会保険に加入した場合、個人事業主としての国民健康保険と国民年金は脱退することになります。
これは自動的に脱退されるわけではなく、自分で市区町村の窓口に行って手続きをする必要があります。
手続きを忘れると、二重加入になり、余計な保険料を払うことになってしまいます。
社会保険料はパート収入だけで計算される

勤務先の社会保険に加入した場合、社会保険料はパート収入だけを基準に計算されます。
個人事業の売上や所得は、社会保険料の計算には一切影響しません。
例えば、パート年収150万円+事業売上100万円でも、社会保険料はパート年収150万円だけで計算されるということですね。
個人事業を続けることは問題ない

パート先で社会保険に加入していても、個人事業を続けることは問題ありません。
ただし、勤務先の就業規則で「副業禁止」と書かれている場合は、事前に確認が必要です。
大抵の場合、個人事業は「副業」ではなく「事業」として扱われるため、問題になることは少ないです。

手続き忘れたら大変だ…気をつけないと。

パート先でしっかり確認して、脱退手続きは早めにやるんだにゃ!
パートで社会保険に加入できない場合。国民健康保険で個人事業と両立
では、パート先が5つの条件を満たさない場合はどうなるのでしょうか。
その場合、個人事業主として国民健康保険と国民年金に加入し続けることになります。
国民健康保険料はパート年収と事業所得の合計で計算

個人事業主として国民健康保険に加入している場合、保険料はパート年収+事業所得の合計で計算されます。
例えば、パート年収100万円+事業所得50万円=150万円なら、この150万円をベースに保険料が計算されるわけです。
保険料は自治体によって異なりますが、月1〜3万円程度が一般的です。
国民年金は基本的に1号被保険者として加入

個人事業主の場合、国民年金は「1号被保険者」として加入します。
月額約1.6万円(2025年度)の保険料を毎月払うことになります。
パート先の勤務時間が少ない場合や、小規模企業での勤務なら、この国民年金加入のパターンになります。
社会保険料の負担は大きくなる傾向

国民健康保険と国民年金の両方に加入する場合、月の合計保険料は3〜5万円程度になることも珍しくありません。
パート先で社会保険に加入できた場合よりも、負担が大きくなる傾向があります。
社会保険加入の有無による月額保険料の比較
【パート先の社会保険に加入】
健康保険料:約2〜3万円(給与から差し引き)
厚生年金:約1.8〜2万円(給与から差し引き)
合計:約4〜5万円
【個人事業主として国民保険に加入】
国民健康保険:約1〜3万円(自己負担)
国民年金:約1.6万円(自己負担)
合計:約3〜5万円
※ 地域や前年収入によって変動あり

月3〜5万円か。やっぱり結構負担があるんだ…

だからこそ、パート先の勤務条件を最初に確認することが大事だにゃ。
パートと個人事業の社会保険。実務的な注意点
パートしながら個人事業主をする際の、実務的な注意点をお伝えします。
パート採用時に社会保険加入の可能性を必ず確認

パート採用時に、必ず「社会保険に加入できるか」を確認してください。
勤務先が5つの条件を満たしているなら、採用後すぐに社会保険加入手続きが進みます。
この段階で確認しておかないと、後から「実は加入対象だった」「加入対象ではなかった」という齟齬が生まれます。
社会保険加入後は国民健康保険を脱退する手続きをすぐに

パート先で社会保険に加入したら、すぐに市区町村の窓口で国民健康保険と国民年金の脱退手続きをしてください。
手続きが遅れると、二重加入で余計な保険料を払わされることになります。
必要な書類は、パート先の社会保険加入証明や新しい保険証です。
確定申告時に社会保険情報を記載する

個人事業の確定申告時に、社会保険の加入状況を正確に記載することが重要です。
パート先の社会保険に加入しているのか、国民健康保険なのか、それによって確定申告の記載内容が変わります。


手続きがいっぱい。ちゃんと覚えておかないと…

だからこそ、パート先の総務部門や勤務先に相談しながら進めるのが安心だにゃ!
パートしながら個人事業主でいるために。社会保険を正しく理解する
この記事では、パートと個人事業を両立する場合の社会保険について詳しく解説してきました。
最後に、一番大切なポイントをもう一度。

パートの社会保険加入は、個人事業と関係なく、パート先の条件で決まる。これが出発点です。
パート先で5つの条件を満たしていれば、勤務先の社会保険に加入でき、その場合は国民健康保険を脱退することになります。
個人事業が社会保険料に影響しないというのが、最大のメリット。
パート先の社会保険に加入できれば、年金も充実し、手取りも安定します。
パートと個人事業の両立を考えている方は、採用時に必ず勤務先の社会保険状況を確認してください。
そして、加入後は脱退手続きを忘れずに。正しい手続きを踏むことが、安定した両立のカギなんです。
パートと事業、両方で頑張るあなたを応援します。

よし!ちゃんと確認して進めれば大丈夫そう!

その調子だにゃ!知識を味方に、一歩ずつ進めば大丈夫だにゃ!