「世帯分離って何?」
「同じ家に住んでいるのに、世帯を分けるってどういうこと?」
親の介護費用や国民健康保険料の負担を減らす方法を調べていて、この言葉に出会った方も多いのではないでしょうか。

世帯分離とは、同じ住所に住みながら、住民票上の世帯を分ける手続きのことです。
この制度を使うと、介護費用や保険料を安くできる可能性があります。
ただし、メリットだけでなくデメリットもあるため、慎重に判断する必要があるんです。
この記事では、世帯分離とは何か、メリット・デメリット、手続き方法まで詳しく解説します。
あなたの家庭に合った判断ができるよう、分かりやすくお伝えしますね。
世帯分離とは何か。基本を理解しよう
まず、世帯分離とは何かを正しく理解しましょう。
この制度の基本を押さえることが、判断の第一歩です。
世帯分離とは同じ住所で世帯を分けること

世帯分離とは、同じ家に住みながら、住民票上の世帯を別々にすることです。
例えば、親と子が同じ家に住んでいる場合、通常は「親が世帯主の1つの世帯」として登録されています。
しかし、世帯分離をすると「親の世帯」と「子の世帯」という2つの独立した世帯に分かれるんです。
状態 | 世帯主 | 世帯の数 |
---|---|---|
世帯分離前 | 父(または母)1人 | 1世帯 |
世帯分離後 | 父と子がそれぞれ世帯主 | 2世帯 |
住所は変わらないまま、行政上の「世帯」だけが分かれる仕組みです。

え?同じ家なのに世帯が別々になるの?

そうにゃ!住民票上で別々の世帯として扱われるんだにゃ!
世帯分離の条件は生計が別であること

世帯分離をするには、生計が別であることが基本条件です。
「生計が別」とは、食費や光熱費などの生活費をそれぞれの収入で別々に負担している状態を指します。
実際には同じ冷蔵庫や電気を使っていても、家計管理が独立していればOKです。
生計が別とみなされる例
- 親は年金収入、子は給与収入でそれぞれ生活費を出している
- 食費や光熱費を別々に計算して負担している
- それぞれが独立した家計簿をつけている
ただし、実態が伴わない世帯分離は認められません。
嘘の申告をすると、後で問題になる可能性があるので注意が必要です。
世帯分離と二世帯住宅の違い

「二世帯住宅」と混同されやすいですが、世帯分離とは違います。
項目 | 二世帯住宅 | 世帯分離 |
---|---|---|
住居 | 玄関や台所が別々 | 共有でもOK |
住所 | 別々にすることも可能 | 同じ住所 |
住民票 | 自動的に別世帯になるとは限らない | 手続きして別世帯にする |
二世帯住宅でも、住民票上は「1つの世帯」として登録されていることがあります。
逆に、完全同居でも世帯分離は可能なんです。
世帯分離のメリット。保険料や介護費用が安くなる
では、世帯分離をするとどんなメリットがあるのでしょうか。
主な利点を詳しく見ていきましょう。
介護サービスの自己負担額が減る可能性

世帯分離の最大のメリットは、介護サービスの自己負担額が減ることです。
介護サービスの自己負担割合は、本人の所得と世帯の課税状況で決まります。
所得状況 | 自己負担割合 |
---|---|
世帯全員が住民税非課税 | 1割 |
本人が住民税課税(所得280万円未満) | 2割 |
本人が住民税課税(所得280万円以上) | 3割 |
例えば、年金収入だけの親と、会社員の子が同じ世帯だと、子の収入も合算されて判定されます。
しかし、世帯分離すれば親の所得だけで判定されるため、自己負担が1割になる可能性が高まるんです。
高額介護サービス費の上限額が下がる

介護サービスの自己負担額には月額上限があります。
これを「高額介護サービス費制度」と言いますが、この上限額も世帯の所得で決まるんです。
所得区分 | 月額上限 |
---|---|
住民税非課税世帯 | 24,600円 |
住民税課税世帯 | 44,400円 |
現役並み所得者 | 93,000円 |
世帯分離により親が住民税非課税世帯になれば、月額24,600円が上限になります。
年間にすると20万円以上も差が出ることもあるんです。

えっ!こんなに違うの!?

そうにゃ!だから介護費用の負担が重い家庭では、世帯分離を検討する価値があるにゃ!
国民健康保険料が安くなるケースも

国民健康保険に加入している場合、世帯分離で保険料が安くなる可能性があります。
なぜなら、国保の保険料は世帯全員の所得を合算して計算されるからです。
世帯分離すれば、親は親の所得だけで計算されるため、保険料が下がることがあるんです。
ただし、世帯ごとに均等割がかかるため、逆に高くなるケースもあります。
これは後ほど詳しく説明しますね。
世帯分離のデメリット。注意すべきポイント
メリットがある一方で、世帯分離にはデメリットもあります。
後悔しないために、注意点をしっかり押さえておきましょう。
国民健康保険料が高くなる場合もある

先ほどメリットとして挙げた国保ですが、逆に高くなるケースもあるんです。
なぜなら、国保には均等割という世帯ごとにかかる定額部分があるから。
世帯を分けると、この均等割が2世帯分かかるため、トータルで高くなることがあります。
扶養控除が使えなくなる可能性

世帯分離をすると、税金の扶養控除が使えなくなる場合があります。
扶養控除を受けるには「生計を一にしている」ことが条件。
世帯分離で「生計が別」と判断されると、扶養控除が認められないんです。
扶養控除は1人につき38万円〜58万円の所得控除が受けられるため、これが使えなくなると税負担が増えます。
扶養控除が使えなくなると
- 所得税が年間数万円増える
- 住民税も増える
- 結果的に手取り収入が減る
介護費用が安くなっても、税金が増えたら意味がありませんよね。
トータルで考えることが大切です。
心理的な距離感が生まれることも

世帯分離は「書類上の手続き」ですが、心理的な影響もあります。
「家族なのに世帯が別」ということに、親が寂しさを感じることもあるんです。
特に、世帯分離の目的を十分に説明しないと「捨てられた」と感じてしまう可能性も。
手続きの前に、家族でしっかり話し合うことが大切です。

確かに、親の気持ちも考えないとね…

そうにゃ。「介護費用を安くするため」としっかり説明して、家族全員が納得した上で進めるのが大事だにゃ。
関連記事:https://sigomama.com/kokuho-setai-keisan/
世帯分離の手続き方法と必要書類
では、実際に世帯分離をする場合、どんな手続きが必要なのでしょうか。
流れを詳しく見ていきましょう。
市区町村の窓口で手続きをする

世帯分離の手続きは、市区町村の窓口で行います。
具体的には、住民課や市民課などの窓口に行き、住民異動届を提出するだけ。
手続き自体は簡単で、即日で完了します。
手続きの流れ
- 市区町村の窓口に行く
- 住民異動届に記入する
- 必要書類を提出する
- 新しい住民票が発行される
必要な書類は本人確認書類のみ

世帯分離の手続きに必要な書類は非常にシンプルです。
必要な書類
- 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
- 印鑑(自治体によっては不要)
それだけです。
特別な証明書類は必要ありません。
ただし、自治体によっては「生計が別であることを確認するため」に、簡単な質問をされることがあります。
手続き後は各種手続きが必要

世帯分離が完了したら、以下の手続きを忘れずに行いましょう。
世帯分離後の手続き
- 国民健康保険の手続き(世帯が変わるため)
- 介護保険の負担割合の見直し申請
- 高額介護サービス費の区分変更申請
- 会社への扶養控除の変更届(該当する場合)
これらの手続きを怠ると、世帯分離のメリットを受けられないので注意してくださいね。
関連記事:https://sigomama.com/kokuho-tetsuzuki/
世帯分離とは何か理解してメリット・デメリットを比較しよう。まとめ
世帯分離とは、同じ住所に住みながら、住民票上の世帯を分ける手続きです。

この制度を使うことで、介護費用や保険料の負担を減らせる可能性があります。
この記事のポイント
- 世帯分離とは同じ家に住みながら世帯を分けること
- メリット:介護サービスの自己負担が1割に、高額介護サービス費の上限が下がる、国保が安くなる場合も
- デメリット:国保が高くなる場合も、扶養控除が使えなくなる、心理的な距離感
- 手続きは市区町村の窓口で簡単にできる
- 必ず事前に試算してトータルで判断する
世帯分離は、うまく使えば大きな節約になりますが、すべての家庭にメリットがあるわけではありません。
特に、国民健康保険料や税金がどう変わるかは、家庭の状況によって大きく異なります。
だからこそ、事前に専門家に相談して、具体的な金額を試算してもらうことが大切です。
地域包括支援センターやケアマネジャー、市区町村の窓口で相談すれば、丁寧にアドバイスしてもらえますよ。
世帯分離を検討している方は、この記事を参考に、あなたの家庭に合った選択をしてくださいね。

よくわかったわ!まずは地域包括支援センターに相談してみるわね♪

その調子にゃ!家族でしっかり話し合って、みんなが納得できる形で進めるにゃ!応援してるにゃ!